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麻耶雄嵩 『メルカトルと美袋のための殺人』

メルカトルと美袋のための殺人 (講談社文庫)
銘探偵メルカトル鮎の活躍を推理作家・美袋三条の視点より描いた7編の短編集。
メルの独善的で荒唐無稽な仕打ちによって散々な目に遭う美袋。二人の構図を、同著者の探偵・作家コンビである木更津・香月のそれと比較すると尚面白みが深まる。
また、2005年11月の麻耶雄嵩講演会にて、麻耶雄嵩氏が「作者としてはワトソン役は馬鹿な方が楽」「(美袋について)あれほど書きやすい人間はいない」という趣旨の発言をしていたこと思い出した。
収録作は短編とはいえ麻耶雄嵩らしく一癖も二癖もあるものばかり。中でも「遠くで瑠璃鳥の啼く声が聞こえる」の後味が何とも言えず好み。