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山田正紀 『ミステリ・オペラ 宿命城殺人事件』

ミステリ・オペラ―宿命城殺人事件 (ハヤカワ・ミステリワールド)
疲れたよ、この弁当箱サイズ。
2段組み682頁。交錯する過去と現在、現実と虚構。作中作、暗号、密室、アリバイ、見立て……本格ミステリのガジェットがこれでもかと言わんばかりに盛り込まれた贅沢すぎる作品。第2回本格ミステリ大賞と第55回日本推理作家協会賞をW受賞。
 だがなかなか心の底から没入して楽しめなかったのが正直なところ。やけに俯瞰的な文体が関係しているのかもしれない。謎の解決はところどころ拍子抜けであったりして、山田正紀らしい。それらの点や、幻想的に仕上げようとしている雰囲気、詰め込み過ぎでいっぱいいっぱい感など、まさに山田正紀の集大成的な作品であることは間違いないだろう。