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森博嗣 『工学部・水柿助教授の逡巡』

工学部・水柿助教授の逡巡
取り上げたい物言いはいくつもあったが、このシリーズは森博嗣にしては饒舌すぎて、引用しようとすると5・6行は引っ張らないと意味が通らなくなる。これは厳しい。
『日常』に続くシリーズ2冊目。『四季』や『スカイ・クロラ』とはまた異なった森節の作品だが、それらよりも遥かに気合を入れて書かれているように感じるのは自分だけだろうか。土屋賢二への傾倒が見られる文章。小説らしくなく、エッセイに極めて近い。小ネタを利かせすぎていて食傷にもなる。
と、ここまで指摘した点の全てを何らかの形で自ら処理しているからちとずるい。しかしそういった卑怯さも森博嗣の売りかもしれない。