書は言を尽くさず、

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舞城王太郎 『みんな元気。』

みんな元気。

もっともっと根本的に、人間のあらゆる行動は他人の視線を意識したものである、道徳とは結局のところ、他人にどう思われたいか、という問いにおいて良い方を選択するその瞬間にある…。

表題作は読むのが辛い。時系列の境が不明瞭でストーリーテリングは不親切なのに描写はこと細かくやけに親切だから余計にこんがらがる。長編どころか中編にも向かない作家だと思う。
話の筋自体は割かし平凡な「我が家のトトロ」「スクールアタック・シンドローム」などが好み。
 しかし、一番の感想は舞城作品がこの価格(1400+税)でこの量(5編260頁)読めることか。書店で文庫版『煙か土か食い物』を見てその薄さに驚いたこともあり。